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はじめの一歩は、自分を認めること ・第5章

手応えに変える 認めた先に進む

認めることは、ゴールではない

ここまでの4章は、マイナスをゼロに戻す話でした。責めていた手を止めて、事実を事実のまま置けるようになる。

最終章は、そのゼロから先の話です。

はっきり言っておきたいのですが、自分を認めることはゴールではありません。認めて終わりなら、それはただの現状維持です。認めることの本当の価値は、そこから動けるようになることにあります。責める燃料で走っていた人が、責めない状態でもう一度、自分の足で進み始める。ここまで来て、この教材は完成です。

肯定より、手応えを集める

進み始めるときに、集めてほしいものがあります。

自己肯定より、手応えです。

「自分はすごい」と思い込む必要はありません。「先週できなかったことが、今週は少しできた」という事実を確認する。ワーク2の書き換えが、3日目には少し早くなった。裁判が始まったとき、1回だけ「以上」で止まれた。それが手応えです。

手応えは、他人の評価がいらない点で、肯定より強いです。誰に褒められなくても、先週の自分と比べれば自分で確認できる。自分を認める力は、この小さな確認の積み重ねで育っていきます。

それと、進み始めると必ず不安が出てきます。不安は、挑戦している証拠です。蛇口をひねれば水が出ることに、不安を感じる人はいません。確実にできることには、不安は生まれない。不安があるのは、それがあなたにとって挑戦だからです。消そうとしなくて大丈夫です。

僕が同じ職場に戻った話

最後に、僕自身の「認めた先」の話をさせてください。

うつで休職したあと、僕は同じ職場に戻る選択をしました。周りからは、環境を変えたほうがいいんじゃないかとも言われました。正直、怖かったです。

でも当時の僕は、こう考えました。ここで場所を変えて逃げると、やり残したものがずっと残り続ける。清算するには、戻って、話して、できることを見つけていくしかない。

戻ってみて分かったことがあります。僕は営業が嫌いだったんじゃなくて、あのときの環境との噛み合わせが悪かっただけでした。人は環境次第で全然変わる。この発見は、戻らなければ一生手に入りませんでした。

誤解しないでほしいのですが、「逃げるな」という話ではありません。向き合った上で離れるのは、立派な選択です。僕が伝えたいのは、どっちが先か、のほうです。自分を認められていなかったころの僕には、戻る選択肢そのものが見えていませんでした。「ダメな自分」を隠すことに精一杯で、選ぶ余裕がなかった。認めたあとだったから、怖さごと選べたんです。

自分を認める力がつくと、優しくなるだけじゃなくて、選べるようになる。僕にとっては、こっちの効き目のほうが大きかったです。

ワーク5 手応えの記録と、小さな実験

その1 手応えの記録

寝る前に、今日の手応えをノートに1行だけ書いてください。3週間、毎晩続けます。どんなに小さくてもいいです。「以上、で1回止まれた」「何もできなかったけど、責めずに寝ることにした」。それも立派な手応えです。

その2 小さな実験(3週目に)

「認めたあとの自分なら、やってみたいこと」をひとつ決めて、1週間だけ試してください。うまくいくかは問いません。仮決めでいいんです。1週間やってみて、違ったらやめて、別のことを試せばいい。

たとえば「会議で1回だけ自分の意見を言う」「頼まれごとをひとつ断ってみる」「ずっと気になっていた人に連絡する」。決めた実験と、1週間後の結果も、ノートに書いておいてください。

そして3週間が終わったら、第1章の現在地チェックをもう一度やってみてください。数の変化が、あなたの3週間の手応えです。変わっていなくても、大丈夫です。3週間、自分と向き合い続けたという事実は消えません。それ自体が、以前のあなたにはなかったことのはずだから。

この章で感じたこと

ワークはノートに書くのがおすすめですが、いま手元にないときは、ここにどうぞ。

浮かんだことを、そのまま

書いた内容は、あなたのこの端末の中にだけ保存されます。どこにも送信されません。