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ちひろの話

人の目で生きてきたわたしが、
心をほどくコーチになるまで

少し長い話です。約4分。途中で閉じても大丈夫なように、章ごとに区切ってあります。

01

誰かの言葉で、決めてきた

進路も、仕事も、人生の大きな決断はいつも、誰かの言葉で決めてきました。 親が言うから。周りがそう勧めるから。

素直な性格、と言えば聞こえはいいです。 でも、あとから気づきました。あれは配慮でも素直さでもなくて、 失敗したときの言い訳を作りたかったんです。 自分で選ばなければ、自分のせいにならない。 そうやって、逃げ道を作りながら生きていました。

母に「家でのちひろを出せたら、人気者になると思うよ」と言われたことを覚えています。 家の外のわたしは、それだけ「ちゃんとした自分」をかぶっていたのだと思います。

02

「ちゃんとしなきゃ」の毎日

社会人になって、営業の仕事に就きました。 1年目に上司から刻まれた言葉が「自責でいろ」です。 うまくいかないことは、ぜんぶ自分のせい。 当時のわたしは、それを美徳だと信じて疑いませんでした。

「ちゃんとしなきゃ」「期待に応えなきゃ」で毎日が埋まっていく。 結果が出なければ自分を責める。責めることが、努力の証のような気さえしていました。 いま振り返ると、責任を持つことと、すべてを自分のせいにすることは、別のものです。 でもその区別を、当時のわたしは知りませんでした。

03

止まった日

その生き方は、あるとき限界を迎えました。 埋め尽くされた毎日の先に、何も感じられなくなった自分がいて——うつになりました。

しんどい時に「前向きに考えよう」という言葉が、まったく響かないことを、 わたしはこの時期に身体で知りました。 頑張れない自分を、また責める。責めるから、もっと動けなくなる。 あの頃のわたしに足りなかったのは、前向きさではなかったんです。

04

諦めない人

わたしを救ってくれたのは、薬でも特別な治療法でもなく、 当時の職場にいた、ひとりの上司の「あり方」でした。

その人は、何かを押し付けることをしませんでした。 ただ丁寧にわたしの話を聞いて、戻りやすいように会社の環境まで整えてくれた。 そして何より、わたしのことを諦めなかった。

本当に人を救うのは「あなたのことを諦めない人」なんだと、あのとき知りました。 いまのわたしの仕事は、ぜんぶこの体験から始まっています。

緑の中に立つちひろ

05

同じ職場に、戻る

回復したあと、わたしは同じ職場に戻る選択をしました。 場所を変えて逃げると、やり残したものが追いかけてくる気がしたからです。 あのときの自分には、それがいちばん怖くて、いちばん必要な選択でした。 いま振り返っても「あの時めっちゃ頑張ったな」と思います。

戻ってみて、わかったことがあります。 わたしは営業という仕事が嫌いだったんじゃなくて、 誰のもとで、どんな環境で働くかが合っていなかっただけでした。 人は、働く環境でここまで変わるのかと驚いたのを覚えています。 過去から逃げずに戻ったからこそ、拾えた気づきでした。

06

Be-comingへ

いまは「Be-coming」という屋号で、心をほどくコーチをしています。 ありのまま(これまでの自分)は、変えなきゃいけない過去ではなく、いまの自分を作った材料。 自分らしさは、その材料を使って、これから設計していけるもの。 わたし自身の回り道から出てきた、この考え方が土台です。

病院に行くほどではない、でも確実にしんどい。 そういうグレーゾーンで頑張り続けている人の隣に、諦めない人としていたい。 それがこの場所を作った理由です。

わたしにできるのは、少し先を歩いてきた人として、隣を歩くことだと思っています。 この場所も、わたしも、これから一緒に育っていきます。

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
あなたの話も、いつか聞かせてください。

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