はじめの一歩は、自分を認めること ・第1章
「認める」の誤解を解く
認められないのは、性格のせいじゃない
「自分を認めましょう」という言葉、たぶん何度も聞いたことがあると思います。
そして、何度も失敗してきたんじゃないでしょうか。僕もそうでした。認めようとしても、心のどこかで「いや、でも実際ダメだし」という声がして、余計に落ち込む。この繰り返しです。
でもこれ、あなたの性格に問題があるわけではありません。「認める」という言葉の意味を、取り違えたまま頑張っていただけです。技術を知らなかっただけなんです。
まず、3つの誤解をほどいていきます。
誤解その1 認める=好きになる、ではない
一番多い誤解がこれです。「自分を認める」を「自分を好きになる」だと思ってしまう。
好きになろうとすると、必ず壁にぶつかります。心の底で自分を嫌いだと感じているときに、無理に好きだと思い込もうとするのは、本当の気持ちに蓋をすることだからです。蓋をされた気持ちは消えません。むしろ「好きになれない自分はやっぱりダメだ」と、責める材料がひとつ増えます。
認めるというのは、もっと手前の話です。
仕事で失敗して落ち込んでいるとき、「ああ、自分は今、落ち込んでいるんだな」と、良いも悪いもつけずに、ただそう認識する。天気予報を見るのと同じ温度で。「今日は雨か」と確認するとき、雨を好きになろうとはしないですよね。それと同じです。僕はこの温度感が、一番しっくりきています。
誤解その2 認める=自己肯定感を上げる、でもない
「自己肯定感を上げよう」という言葉も、あちこちで見かけますよね。
僕は、この言い方には少し立ち止まってほしいと思っています。何かを達成して、成功体験を積んで、それで自分を認めようとするやり方の根っこには、「今のままの自分ではだめだ」という前提が隠れているからです。価値を足し続けないと自分を認められないなら、あなたの価値はいつも結果と他人の評価に握られたままです。
この教材で目指す状態を、僕は一言でこう表現しています。
「ダメがある。以上」
ダメなところを、直視する。言い訳もしないし、卑下もしない。「ある」と確認して、そこで止まる。「だから自分は価値がない」まで進まない。この「以上」で止まる力こそが、自分を認める力の正体です。
上げるものではなく、止めるもの。ここが一番大事な違いです。
誤解その3 認める=今のままでいい、でもない
もうひとつ、逆方向の誤解もあります。「ありのままを認めるって、成長を諦めることでしょう」というものです。
違います。認める対象は、過去とすでに起きた事実です。未来ではありません。
過去にあったこと、いまの自分の状態。これは、どれだけ責めても変わりません。変わらないものを責め続けるのをやめる。それが「認める」です。一方で、これからどうするかは、いくらでも変えられます。
どっちが先か、の問題なんです。実際にやってみると分かるのですが、自分を責めながら変わろうとすると、動けなくなります。責めるのをやめてからのほうが、人は変わりやすい。僕自身、自分を追い詰めていた時期には何も変えられず、責める手を止めてからのほうが、よっぽど動けるようになりました。
責める癖には、来歴がある
それと、もうひとつ。
自分を責める癖は、あなたの敵として生まれたものではありません。かつて、あなたを守るために働いていたものです。
僕の場合、先回りして自分を責めておけば、誰かに責められたときの衝撃に備えられました。「自分が悪い」と思っておけば、助けてもらえない状況にも説明がつきました。子どもの僕にとって、あれは生き延びるための、それなりに合理的な方法だったんです。
問題は、その方法が当時は役に立ったのに、いまの自分には合わなくなっていることです。大人になったあなたには、もう別の守り方がある。それでも癖だけが残って、自動で動き続けている。
だから、この癖と戦わないでください。「長いあいだ、守ってくれてたんだな。でももう、この方法じゃなくていい」。そう見方が変わるだけで、癖への力の入り方が変わります。敵を倒す練習だと思わないでください。役目を終えたものに、気づく練習です。この教材でやるのは、ずっとそういうことです。
ワーク1 現在地チェック
最初のワークでは、いまの自分の位置を知るところから始めます。
次の10個の文を読んで、当てはまるものを数えてください。深く考えなくていいです。直感で。
- 失敗すると、その日一日、頭の中で自分を責め続けてしまう
- 過去の出来事を「あのせいで」という言い方で思い出すことが多い
- 「〜すべき」「〜しなきゃ」で動いている時間のほうが長い
- 人に褒められても、素直に受け取れない
- 「ここにいていいのかな」と感じる場面がある
- 落ち込んだとき、気持ちを切り替えようと焦ってしまう
- 自分の気持ちより、相手がどう思うかを先に考える
- 「助けて」と言うのが苦手だ
- 頭では分かっているのに、心がついてこない感覚がある
- 疲れているのに、休むことに罪悪感がある
いくつ当てはまりましたか。
大事な注意をひとつ。この数で、自分を裁かないでください。「8個もあった、やっぱり自分はダメだ」と思ったなら、それこそが、この教材で扱う癖そのものです。チェックが多いのは、それだけ長いあいだ、感情を押し殺して頑張ってきたしるしでもあります。
この数字は3週間後にもう一度確かめるための、ただの現在地です。ノートの最初のページに、今日の日付と一緒に書いておいてください。
この章で感じたこと
ワークはノートに書くのがおすすめですが、いま手元にないときは、ここにどうぞ。
浮かんだことを、そのまま
書いた内容は、あなたのこの端末の中にだけ保存されます。どこにも送信されません。